「白髪家系はハゲない」は本当か?

「白髪家系はハゲない」は本当か?

「白髪家系はハゲない」「白髪の人はハゲにくい」など、まるで事実であるかのように話されるこの話題。果たして本当なのでしょうか?
結論から申し上げると、

 

大ウソ!

 

白髪ができるメカニズムと発毛のメカニズムには関連性はありません。

 

「なぜ白髪になる?」でも解説したように、白髪になるかどうかは、毛根内にあるメラノサイトという色素細胞の働きが大きく関係してきます。髪の色は毛髪内のコルテックスにあるメラニン色素の量と種類によって変わってくるのですが、このメラニン色素を生成するのがメラノサイトです。
老化や遺伝など、何らかの原因によってメラノサイトの働きが弱くなってくると、メラニン色素が生成されなくなり白髪が生えてきます。

 

一方で毛髪生成は、毛根内の毛乳頭の指令によって、同じく毛根内にある毛母細胞が分裂を繰り返すことにより新しい髪の毛が生成されます。一本の髪の毛が生えてから抜けるまでの一連の周期をヘアサイクル(毛周期)というのですが、何らかの原因で毛母細胞の分裂活動が弱くなると、ヘアサイクルが乱れ、脱毛が生じます。

 

これらのメラノサイト(色素細胞)と毛母細胞は、それぞれが独立した仕組みで活動します。メラノサイトが活動停止すれば白髪になり、毛母細胞の活動が停止すればハゲになります。もちろん、この両方が同時に起こることだってあります。
つまり、白髪であってもハゲることは当たり前にあり、「白髪が多い」ことと「髪の毛が少ない」ことは直接関係ありません。

 

ではなぜ、「白髪家系はハゲない」といわれているかですが、黒髪よりも白髪の方が頭皮とのコントラストが小さいのでハゲが目立ちにくいから、というのが一説には言われています。他にも諸説ありますが、いずれにしても学術的に立証されているものはありません。

 

むしろ、白髪の人の方がハゲやすい?

 

白髪と発毛のメカニズムに直接の関連性はないのですが、それを引き起こす原因には両者に共通しているものがいくつかあります。遺伝や老化などの自分でコントロールできない要素でいうと、例えば、

  • 肩こりなどによって起こる血行不良。
  • バランスの悪い食生活による栄養不足。
  • 睡眠不足や不規則な睡眠サイクル。
  • 慢性的な過度のストレス。

などがあげられます。血行不良は、メラニン色素生成や毛母細胞分裂に必要な養分が頭皮に十分供給できなくなります。食生活のみだれによる栄養不足も同様です。睡眠不足は頭皮細胞の活動を促進させる副交感神経の働きを低下させます。過剰のストレスは、消化器系の内臓の働きを低下させるため栄養不足になりがちになったり、間接的に睡眠不足の原因となります。

 

つまり何が言いたいかというと、「生活習慣要素が原因で白髪になった人は、ハゲになりやすい」ということです。「白髪の人はハゲにならない」とは、むしろ逆ということですね。
白髪のハゲの仕組みは別々であっても、それを引き起こす原因に共通点があるのであれば、間接的には無関係とは言えません。特に白髪家系ではないけど白髪の人は、十分にハゲ予防対策をした方がいいでしょう。

 

白髪染めをするとハゲやすい!

 

白髪の方のハゲを促進させてしまうかもしれない行為があります。それは「白髪染め」です。
誤解しないで頂きたいのは、白髪染めそのものはハゲの直接の原因にはならならいということ。あくまで原因のきっかけになるかもしれないということです。

 

白髪染めの仕組みを簡単に説明すると、毛髪に塗布した薬剤がキューティクル(毛髪の表面の組織)をこじ開け、そこから染料をコルテックスに浸透させることによって、髪の色を変える方法です。毛髪にダメージは与えますが、毛根を傷つけることはありません。

 

気をつけなければいけないのは、薬剤が頭皮に着かないようにすること。薬剤が頭皮に付着すると頭皮にダメージを与え、毛穴詰まりの原因になったりしてハゲにつながる可能性があります。
素人が頭皮に薬剤を着けずに白髪染めをするのは至難の業です。しかも、白髪染めの薬剤というのは通常のカラーリング剤よりも頭皮への刺激が大きいのです。
ハゲを懸念するのであれば白髪染めは控え、どうしてもということであれば美容院でやってもらうほうがよいでしょう。

 

 

以上のように、「白髪家系だからハゲない」などということは一切ありません。むしろ頭皮細胞の力が弱まっていることを考えれば、逆にハゲやすい状態の可能性もあります。

 

白髪でしかもハゲという悲しみのダブルコンボを達成しないためにも、しっかりとした育毛対策を行っていきましょう!